サンディエゴ在住の29歳、アシュリー・ワトソンさんが友人たちとビッグベアの山小屋女子旅のノリでEtsyの「ソウルメイト似顔絵」を注文。
すると8日後に、絵と“ほぼ同じ顔”の男性と出会い恋が進展した——そんなエピソードが英語圏で拡散しました。
References:Bored Panda
最初に“夢のような体験”を、インフルエンサー案件の側面やネット上の疑義も含めて紹介しています。
報道の要点
- きっかけ:女子旅の悪ふざけで、友人たちと“オンラインの占い師”から似顔絵+テキストのリーディングを購入。
アシュリーさんの鑑定には「0〜3カ月で出会う」というタイムラインが付いていた。 - “8日後”の遭遇:帰宅後まもなく出会った男性が絵と驚くほど似ていたと主張。
本人は最初は気に留めず、いとこからの指摘で気づいたという。 - バズの加速装置:アシュリーさんはクリエイター事務所(SuperBloom)に属するインフルエンサーで、プロフィールに“当該占い師”へ飛ぶアフィリエイトリンクを設置。
拡散後、このリンク経由で予約が相次いだとBored Pandaは指摘する。 - 疑義の噴出:ストーリーが広がるにつれ、「仕組まれたPRでは?」との声も。
報道では“詐欺呼ばわりする投稿も出ている”と紹介しつつ、確証は示していない。
なぜ“ソウルメイト似顔絵”がEtsyにあるのか:規約とグレーゾーン
Etsyは「形のない“霊的サービス(metaphysical services)”の販売を禁止」しています。
たとえば祈祷・呪術・愛情運の保証などはNGです。
一方で似顔絵という“有形物”や、図像・写真・テキストとして“結果物”が納品される占いは掲載され続けています。
実際、占い系の出品説明には「タロットは写真/音声/テキスト等の“形ある納品物”を含めること」という注意書きが見られます。
つまり「効能の約束」を避けつつ“納品物”をセットにすることで、規約の網をくぐる設計が一般化しているのです。
バイラルの構造:ロマンと“アフィ”が手を組むとき
似顔絵×恋の偶然は物語として強い。
そこにアフィリエイトプラットフォーム(ShopMy等)のトラッカブルなリンクが噛み合うと、好奇心→即購入の導線が完成します。
ShopMy自体は正規のアフィ基盤ですが、“体験談”と“広告”の境界が曖昧になりやすいのが課題。
FTC(米連邦取引委員会)のエンドースメント・ガイドは、経済的利害関係の明確表示(#ad #affiliate 等)を求めており、回避不能で、はっきり読め、誤解されない形での開示を推奨しています。
つまり、ストーリー自体が事実であれ演出であれ、“リンクで収益が発生する”なら開示は必須級の作法。
視聴者はエモーションとプロモーションを見分ける目を持つべきです。
「当たった/当たらない」をどう捉えるか:心理のトラップ
- バーナム効果
人は誰にでも当てはまりやすい曖昧表現を、自分専用のメッセージだと感じやすい。
似顔絵も“解釈の余地”が広く、近い特徴を後から見出すことで一致度を高く感じがち。 - 選択的注目と後知恵バイアス
“似ている相手”にだけ注目し、合致しない多数の出会いを無視する。
起きた後に“そういえば当たっていた”と物語を再構成しやすい。 - 自己充足的予言
「出会いが来る」という暗示が行動量を増やし、結果として出会いが起きる。
因果と相関が逆転して感じられる。
この三つが重なると、“当たった感”は簡単に最大化されます。
そこに高評価レビューとSNSの称賛が加われば、集団的な確信が加速します。
(こうした“占い”自体の法的位置づけは州・市で様々。表現の自由(合憲)の文脈もあり、詐欺的表示の取り締まりは「実害の有無」「欺罔性」で線引きされます。)
トレンドの文脈:パンデミック以降に広がった“デジタル神秘主義
2020年前後からTikTok/Etsyで「ソウルメイトを描きます」がプチブームになり、$30前後のマイクロ課金で数時間〜翌日納品という手軽さが拡散の燃料になりました。
“おもしろ半分の購入→SNSで共有→二次拡散”のループは健在で、今回の件もその延長線上に位置づけられます。
消費者としての“身の守り方”チェックリスト
- 開示を見る:#ad #PR #affiliateなどの対価関係が明示されているか。
見えにくい位置や曖昧表現はNGだと心得る。 - 効能主張に線を引く:「愛が叶う」「運命を引き寄せる」等の結果保証はEtsy規約の禁則に抵触しやすい。
納品物の有無と表現のトーンを確認。 - “再現性の証拠”を探す:個人の体験談と集団レベルの有効性は別物。
第三者検証やリスク開示があるかをチェック。 - 自分の“行動変化”を意識する:前向きな気分が外出・交流の増加を生み、その結果として出会いが生まれたのかも。
“効いた”理由を分解して考える。
それでも楽しむなら:倫理と衛生の2原則
- “物語”として楽しみ、金額は“娯楽課金”に抑える
宝くじ程度の感覚で。
“依存”や高額課金に近づいたら距離を取る。 - 人を勧誘する時は“広告であること”を明示
友人にリンクを送るなら対価関係を開示。
それが信頼の最低ラインです。
まとめ
アシュリーさんの物語は、恋の偶然とクリエイター経済が交差する2025年型バイラルでした。
「当たった」と感じる心理メカニズムを理解し、規約と開示の作法を押さえれば、ロマンはロマンのまま安心して楽しめます。
Etsyは“形のない効能の約束”を禁じつつ、有形の納品物を伴う占いは残している。
広告としての透明性と消費者の自衛が両輪になってこそ、“デジタル神秘主義”は健やかな娯楽でいられるはずです。



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