「いつもの“首ポキ”の15分後、立ち上がれなくなった」——ブラジルのニュースサイトは、23歳の救急救命士ナタリー・クニッキさんの体験を詳報しました。
References:Misterios do Mundo
彼女は首を鳴らした直後に椎骨動脈が裂け(解離)、脳の血管が詰まって虚血性脳卒中を発症。
若い世代でも起こり得ること、そして自己流の首の“強いひねり”が危険になり得ることを訴えています。
報道の概要
- 症状の始まり:
就寝前に首を強く鳴らした約15分後、起き上がろうとして片脚が動かないことに気づき転倒。
救急搬送ののち椎骨動脈解離→脳梗塞と診断されたとされています。 - 医学的背景:
首の血管(頸動脈・椎骨動脈)の内壁に裂け目が生じると、そこに血が入り込んで壁内血腫(コブ)ができ、血流が狭まり/血栓が飛ぶことで脳梗塞を起こします。
これを頸部動脈解離(CeAD)と呼び、若年・中年の脳卒中の主要原因の一つです。 - 誘因:
自己流の首の過伸展・回旋、過度な手技による頸部操作、スポーツやヨガ、激しい咳・嘔吐など“日常的メカニズム”でも報告があります。
多くはまれですが、ゼロではないことが重要です。
もう少し詳しく:なぜ「首を鳴らす」が危ないのか
椎骨動脈は首の後ろを縫うように走り、首を大きく反らせたり強くひねると内壁にせん断力がかかります。
解離が起こると数分〜数時間で「激しい後頸部痛・めまい・ふらつき・複視・呂律不良・片側のしびれ」などが出ることがあります。
症状は一過性に良くなることもあり、「寝れば治る」と見過ごされがちですが、その後に本格的な脳梗塞へ進展する例も報告されています。
代表的な赤信号(一つでも当てはまれば救急受診を)
- 突然の首の激痛/後頭部痛(“人生最悪レベル”の痛み)
- めまい・ふらつき+物が二重に見える/呂律が回らない/片側が動かない・しびれる
- 首を大きく反らす・ひねる動作の直後に症状が出現
こうした初期像は椎骨動脈解離の典型として臨床で共有されています。
どれくらい起こる?——「若い人の脳卒中」の中での位置づけ
頸部動脈解離は全脳卒中のごく一部ですが、50歳未満に限ると脳梗塞の15〜25%を占めるというレビューがあります。
つまり高齢者より若年層の相対比重が高いタイプの脳卒中です。
再発は年間1〜2%程度と報告され、最初の数カ月がやや高リスク期です。
エビデンスは何と言っているか(過度のひねりに注意)
- ケースレポートでは、自己流の“首ポキ”や強い頸部スラストの直後に椎骨動脈解離→脳卒中を来した若年者例が複数報告されています。
相関の強さは研究デザインでばらつきますが、過伸展・回旋の直後に症状が起きた事例は一定数確認されています。 - 一方で、操作そのものが直接原因と断定できない(基礎の血管脆弱性など別要因の可能性もある)との指摘もあり、慎重な解釈が求められます。
だからこそ現実的な指針は「大きく反らす/強くひねる行為は避ける」です。
もしやってしまった直後に違和感が出たら
待たない/寝て様子をみないが鉄則です。
①時間を記録(発症時刻)→②救急要請→③片麻痺・構音障害・視野異常の有無を伝える。
脳卒中は時間との戦いで、発症から早期なら血栓溶解療法や血管内治療の選択肢が広がるためです。
画像診断(CTA/MRA)で解離を評価し、抗血栓療法などが検討されます。
日常でできる予防の作法
- 首は“強くひねらない・反らさない”:
可動域の端を勢いよく超えない。
ストレッチは痛み手前で止める。 - 自己流の“ポキッ”で整えない:
違和感の恒常化は筋・関節・姿勢の問題であることが多く、理学療法や軽いエクササイズの方が安全・持続的です。 - “赤信号”を知っておく:
突然の後頸部痛+神経症状は救急。
家族・友人とも共有を。 - 既往がある場合は特に慎重に:
過去に解離歴がある、結合組織の脆弱性を指摘された、片頭痛が強い等では頸部の強操作を避ける。
取材・報道にみる伝え方のポイント
今回の報道は、若年でも起こるという現実と、「首を鳴らす」行為が安全とは限らない点を可視化しました。
重要なのは恐怖の喚起で終わらせず、
・どの症状で受診するか
・何を避けるべきか
・急性期の治療選択肢
を具体的に共有すること。
読者の“行動”が変わる形で伝えるのが、公共性の高い健康報道の役割です。
まとめ
- 23歳女性が“首ポキ”後に椎骨動脈解離→脳卒中。
若いから安全は神話です。 - 頸部動脈解離は若年の脳卒中の主要因。
突然の後頸部痛+神経症状は即受診が最適解。 - 強い過伸展・回旋は避ける。
自己流の矯正ではなく、理学療法など安全な代替へ。
判断に迷えば医療機関で相談を。



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