11月8日放送のテレビ朝日系「池上彰のニュースそうだったのか!!」が、1993年に社会を揺らした「悪魔ちゃん命名騒動」を特集。
番組内でタレントの松嶋尚美さんが、娘に「空詩(らら)」と名付けた経緯を明かし、「キラキラネームに該当すると言われた」と語った――という内容をデイリースポーツが伝えました。
References:YAHOO JAPAN!ニュース
番組は“過去の大騒動は何を変えたか”を検証する趣旨で、放送前の告知でも「悪魔ちゃん命名問題」を取り上げる旨が示されていました。
1993年「悪魔ちゃん命名騒動」をおさらい
- 発端:
1993年8月11日、東京都昭島市で男児の出生届に「悪魔」と記載して提出。
市は一度受理方向で動いたものの、その後の照会で“妥当でない”との指示が届き、受理の完成を留保しました。 - 家庭裁判所の判断(1994年2月):
東京家裁八王子支部は、「『悪魔』という名自体は命名権の濫用で戸籍法上妥当ではない」としつつ、いったん記載した名を市が一方的に抹消した手続きは違法と判断し、受理手続の完成を命じました。
その後、父親が申立てを取り下げ、別名での届出により決着しています。
ポイントは「名前の価値判断」と「手続の適法性」を別次元として扱ったこと。
名の是非だけでなく、行政手続の正当性が厳格に問われた事例でした。
松嶋尚美さんが語った読みと字の選び方
松嶋さんは、妊娠中から「らら」と呼んでいたことを背景に、読める漢字の組み合わせを探し、「空」と「詩」で「らら」と読ませる名にしたと説明。
世間で「キラキラだ」と言われても「本人が気に入っている」ことを重視したと語りました(デイリースポーツ)。
ここには、音(読み)を先に決め、後から字を合わせる名付け法が表れます。
音のイメージ(やわらかさ・軽やかさ)を起点に字義(空=ひろがり/詩=ことば・表現)を当て、意味の整合を取る——“創作的だけど伝わる”設計の好例と言えます。
2025年の実務:戸籍にフリガナ記載が始まった
2025年5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度がスタート。
行政のデジタル化や手続統一の観点から、「読み」を公的に固定する運用が入っています。
政府広報でも周知され、読みの“一般性”が求められる方向が明確化しました。
<何が変わる?>
出生時の届出で読み(フリガナ)を必須に。
「氏名として一般に認められる読み」であることが求められ、社会通念上著しく相当性を欠く読みは受理困難になる可能性。
<既に使っている読みは?>
既存の読みは原則尊重(直ちに改名等を迫られない)。ただし、漢字の意味と著しく矛盾するなどのケースは確認・指導の対象となり得ます。
つまり、「読みに一定の一般性」「社会通念と大きく外れない」ことが、これまで以上に重要になります。
“読める・通じる”は今後の名付け実務のコア指標です。
キラキラネームはどこまで許容される?
「過度に難読」「漢字の意味と真逆」「差別的・卑わい・反社会的」などは不可とされる見解が示される一方、熟字訓や名乗りなど日本の多様な読みに根ざす慣習は、一定範囲で引き続き認められます(報道・解説より)。
重要なのは、生活上の支障(医療・学校・行政での同定)を最小化できるかです。
名付けの実務チェックリスト
1) 読みの一般性
- 辞書や命名辞典、公的資料に近い根拠を持てるか。
学校・医療・行政での呼称が安定するか。
2) 字義の整合
- 漢字の語義や一般的な音訓と完全に逆行していないか(例:太郎=ジョージ 等)。
3) ライフタイム評価
- 幼児期〜成人〜高齢期まで、本人が受容しやすいか。
名刺・公的文書で無理なく通用するか。
4) 将来の変更可能性
- 読みが固定化されるぶん、変更には手続き負担が増す可能性。
最初の設計精度が今まで以上に大切。
今回の報道から見えること
- “音→字”の設計は珍しくなく、意味連想を保ったうえで読める組み合わせに落とすのが成功の鍵。
松嶋さんの「空詩(らら)」は、その典型例。 - 1993年の「悪魔ちゃん」では、名の価値判断と行政手続が分離されていた。
2025年の制度は、この間の議論を踏まえ、“読み”の明確化で実務を前進させた。 - 名付けの自由は尊重されつつ、社会通念との接点を求めるフェーズへ。
極端な読みや難読化は、本人の利益(事務手続の円滑性・社会生活のしやすさ)に跳ね返る。
まとめ
- 報道の核は、1993年の命名騒動を通じて、いまの名付け環境(読みを公的に固定する時代)を照らし直した点にある。
- 名の自由と社会通念の折り合いは読み(フリガナ)という技術的・実務的な仕組みの整備で前進中。
親は「読める・通じる・意味が整う」の三条件で設計するのが、これからのベストプラクティスだ。



コメント