11月9日、政治団体「NHK党(旧・NHKから国民を守る党)」の立花孝志党首(58)が名誉毀損容疑で兵庫県警に逮捕されました。
対象は、2024年12月の街頭演説や2025年1月のSNS・応援演説で、当時県議(のちに死去)だった竹内英明氏に関して「警察の取り調べ」「逮捕予定」などと発言・投稿した点。
報道各社は、虚偽の事実を不特定多数に示した疑い、逮捕の理由として「逃亡・証拠隠滅の恐れ」を伝えています。
容疑の立証や公判での争点は、「真実性」「公益性」「表現行為の範囲」となりそうです。
何が起きたか
- 逮捕日:
2025年11月9日(兵庫県警)。容疑は名誉毀損。 - 問題視された発言・投稿:
- 2024年12月の大阪・泉大津市長選の街頭演説で、竹内氏について「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言。
- 2025年1月、竹内氏の死後にSNSや応援演説で「継続的に任意の取り調べを受けていた」「明日逮捕される予定だった」などと発信。
- 2024年12月の大阪・泉大津市長選の街頭演説で、竹内氏について「警察の取り調べを受けているのは多分間違いない」と発言。
- 逮捕の理由:
県警は「逃亡・罪証隠滅の恐れ」を説明。
被害者遺族による刑事告訴が起点になっていたことも報じられています。 - メディア各社も同趣旨で速報し、逮捕経緯や容疑の枠組みは一致しています。
※本稿は逮捕容疑段階の情報を基にしています。無罪推定の原則に立ち、確定的断定を避けます。
背景:竹内英明氏と兵庫県庁内部告発文書問題
竹内氏は、兵庫県庁の内部告発文書問題を調査する県議会の百条委員会委員として活動していた人物。
2025年1月18日に死去(自殺)と報じられています。
遺族はその後、名誉を傷つける情報発信があったとして刑事告訴に踏み切っていました。
法的論点:刑法230条と「死者の名誉」「真実性」
日本の名誉毀損罪(刑法230条)は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損」した場合に成立します。
さらに同条2項は、「死者の名誉」について虚偽の事実を摘示した場合に限り処罰対象とする旨を規定。
生前の発言部分は通常の構成要件、死後の発信については「虚偽性」が特に重要となります。
加えて230条の2(公共の利害・公益目的・真実性)により、公務員・公的関与者に関わる事実で真実かつ公益目的なら処罰されない余地もあります。
今回、捜査・公判では(1)公共性・公益目的の有無、(2)摘示事実の真偽、(3)真実相当性(真実と信じる相当の理由)の有無が主要争点になる見込みです。
時系列で整理
- 2024年11月
兵庫県知事選。内部告発文書問題を巡る論戦が過熱。竹内氏は百条委員の一員。 - 2024年12月13–14日
立花氏が泉大津市長選で街頭発言(取り調べ言及)。 - 2025年1月18日
竹内氏が死去。 - 2025年1月19–20日
立花氏がSNS・応援演説で「任意取り調べ」「逮捕予定」等を発信。 - 2025年6〜8月
遺族が名誉毀損で刑事告訴、受理が報道。 - 2025年11月9日
兵庫県警が逮捕(「逃亡・証拠隠滅の恐れ」)。
逮捕が意味するもの:表現の自由と名誉保護の線引き
政治的言論は民主主義の基盤であり、公共性・公益目的の下での硬い批判は広く許容されます。
一方で、具体的事実(例:「取調べを受けていた」「明日逮捕予定だった」)を真偽の確認なく断定的に発信し、不特定多数が閲覧できる状態に置けば、名誉毀損の構成要件に接近します。
今回の件は、政治的批判と具体的事実摘示の境界線、さらに死者に関する摘示の虚偽性という230条2項の射程が問われる事案といえます。
県警・関係者の反応
兵庫県警は逮捕に際し、「逃亡・罪証隠滅の恐れ」を理由に掲げました。
報道では、具体的な証拠品の隠滅懸念にも触れられています。
県内首長・県議ら関係者にもコメントの動きがあり、SNSの適正利用を呼びかける発言が相次ぎました。
今後の焦点
- 真偽の立証
「取調べ」「逮捕予定」という摘示事実が真実だったか、少なくとも真実と信じる相当の理由があったか。
記録・供述・公的説明が鍵。 - 公共性・公益目的
発信時点の政治的文脈(選挙・百条委)から、公益性の射程は広い可能性。
一方、断定の度合いや根拠提示の有無が適法性評価に影響。 - 死者の名誉(230条2項)
死後の発信部分は虚偽性が処罰の要件。
生前の発言は通常の要件(公然性+事実摘示+社会的評価低下)で評価。 - 親告罪の運用
名誉毀損は基本親告罪。
告訴時期・告訴権者(遺族の扱い)などの形式面もチェックポイント。
SNS時代のリスク管理:発信者が留意すべきこと
- 「事実」と「推測」を分ける:
仮説や疑念は推定表現にとどめ、断定的表現は裏取り完了後に。 - 一次資料の確認:
公的記録・公式コメント・取材の複線化で真偽を担保。 - 訂正と検証のプロトコル:
誤りが判明した場合は速やかに訂正・謝罪し、発信の痕跡(キャプチャ等)も含めて透明化。 - 死者に関わる情報:
230条2項の要件(虚偽でなければ処罰されない)に留意しつつも、遺族の感情や社会的評価への影響は大きい。
慎重さが求められます。
まとめ
今回の逮捕は、選挙・百条委・SNSという公共的関心が高い場での発言・投稿が、具体的事実の摘示として名誉毀損の枠組みに該当しうると警察が判断したケースです。
今後は、
・摘示事実の真偽・根拠
・公益目的と表現手法の相当性
・死者の名誉に対する法的評価(230条2項)
が、起訴・公判段階で整理される見込みです。
司法判断は、政治的言論の自由と個人(遺族を含む)の名誉保護の線引き基準に新たな示唆を与える可能性があります。
※情報は2025年11月9日(JST)時点の報道に基づきます。正式な起訴内容・法廷での主張立証により評価は変わり得ます。



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