日本で活動する韓国人YouTuber「デボちゃん(Devo-chan)」が、動画内で「韓国で下半身だけの遺体が37体見つかった」などの内容を発信。
これを受けて韓国警察がサイバー捜査に着手したと、韓国主要メディアや日本のポータルが一斉に報じました。
警察は“日本のオンライン空間を中心に虚偽情報が拡散した”として、事実関係を把握のうえ法的措置を検討するとしています。
当該YouTuberの登録者は約96万人。
問題視された動画では、「臓器売買」「非公開の重大事件が多数」といった断定的な表現が用いられ、Xや掲示板で不安を煽る二次拡散が生じました。
本人は「ニュースや韓国人のコメントを紹介しただけ」と釈明しつつ、関連動画の削除と警察への出頭を表明しています。
何が報じられたか
- 捜査着手の発表:
韓国警察庁は11月5日、ソウル警察庁サイバー捜査隊による対応を告知。
「日本語圏で流布された虚偽の捜査情報」に照準を合わせ、厳正に対処するとしました。 - 報道の骨子:
朝鮮日報(日本語・英語)や中央日報は、当該動画が「下半身だけの遺体37体」などの確認できない主張を含んでいる点、登録者規模、警察の方針を整理して伝えています。 - 日本側の取り上げ:
ライブドアニュースなど国内メディアも、韓国側の捜査着手と動画内容の問題点を要約。
話題は短時間でトレンド化しました。
タイムライン
- 10月22日:
問題視された動画を公開(長さ15分32秒、再生数は100万超に到達)。 - 11月5日:
韓国警察庁が捜査着手を発表。主要メディアが報道。 - 11月5~6日:
本人が関連動画の削除と出頭の意向を動画や投稿で表明。続報が相次ぐ。
なぜ「信じられた」のか——拡散メカニズムを分解
- “数字の衝撃”×断定口調
「37体」「150件」のような具体的数値は真偽不明でも脳に強く残る。
サムネ・タイトルの緊急性フレーミングが「保存→共有」を誘発します。
今回の動画も短時間で100万再生規模に達し、見出しだけの二次拡散が拡大。 - 言語“越境”で検証が鈍る
日本語での“韓国発ニュース”は、現地一次情報の裏どりが難しい。
翻訳の揺れやソース不在でも、「現地で起きている」という臨場感が信憑性を補完します。
警察も「日本のオンライン空間」での流布を特記しました。 - 既存の不安に“接続”する語り
東南アジアでの拉致・監禁事件報道や、越境詐欺のニュースと連想結合し、「あり得るかも」という気分が増幅。
事実の断片と物語が混線しやすい地合いでした。
法とプラットフォーム対応:どこまでがアウトか
- 警察の論点:
韓国側は「虚偽の捜査情報」としてサイバー捜査を進める方針。
公共の安全や捜査を混乱させる情報の流布が権利侵害・業務妨害に当たり得るのか、立証の射程が焦点です。 - 本人の主張:
「ニュースやコメントを紹介しただけ」としつつ、「下半身だけの遺体は事実」とも再主張。
紹介/断定/憶測の境界が争点になります。 - プラットフォーム:
表現は広く保障される一方、各社規約は誤情報の大量拡散や重大な危害を招く虚偽に制限を設けるのが一般的。
事後的に削除・年齢制限・収益化停止などの措置が取られる可能性があります(本件の最終対応は未確定)。
媒体・視聴者・発信者に求められること
A. 媒体(まとめサイト/二次配信)
- 数値・固有名詞は一次ソースに当たる。
警察発表/裁判所資料/記者会見の有無をチェック。 - “疑い”と“事実”のラベリングを厳格に分ける(見出しで断定しない)。
B. 視聴者
- 3点クロスチェック(①現地大手紙・②公的機関・③国際線の英字報道)。
今回なら朝鮮日報・中央日報・警察発表など。 - “一時停止→検索”の癖を付ける。固有名詞+日付+場所での再検索が有効。
C. 発信者(動画・SNS)
- 係争性の高い主張は出典URLを明示。
未確認→推測→意見の段階表示を固定のテンプレで。 - 訂正の作法を決めておく(サムネ差し替え、冒頭に訂正テロップ、説明欄の更正履歴)。
メディアリテラシーの観点:数字の扱いと恐怖の設計
検証できない大きな数字は、それだけで恐怖や回避行動を誘導します。
「行くな」「危険だ」という広域の不買・不訪問ムードは、観光・交流・市民の相互理解にも影響します。
今回のケースは国境を跨ぐ言語空間で起きたため、誤情報が“越境不安”を加速させる典型例でした。
メディア側は見出し・OG画像・要約の段階から誤解の余地を最小化する設計が求められます。
まとめ:迅速な検証と引き返す勇気
- 事実:
韓国警察が捜査着手。
問題の動画は確認不能な主張を含み、日本語圏で急拡散しました。 - 現在地:
本人は動画削除と出頭表明。
一方で主張の一部を維持しており、「紹介」か「虚偽の断定」かの線引きが問われています。 - 教訓:
数字の力は強い。
だからこそ一次情報へのアクセス、段階表示、迅速な訂正が不可欠。
誤情報は誰でも踏み外す可能性がある分、引き返す手順(訂正と説明)まで含めて“情報の作法”を整えるべきです。



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